実際に販売を行う現場に目を向けてみると、販売職から店舗責任者となり、エリアリーダーやマネージャーというキャリアステップが多くみられる。そのキャリアステップの中で頭を悩ませる一つに「育成」というものが存在するだろう。販売員だった者が、ある日から店長になり自店の切り盛りから部下の育成を行わなくてはならない。また、エリアマネージャーやスーパーバイザーとなれば、管理職側の人間でさえも育成していく必要がある。

 

今回はクレセントアイズが運営するhilal ay(ヒララ)でマネージャーを務める渡邉に育成に関してインタビューのvol.02を紹介したい。

 

オープンマインドから得られた共感と共有

- 自身のスタンスが違ったと気づき、次にどんなアクションを起こしたんですか?

これは一回スタッフ全員と話さなくてはいけないなと思い、一人づつ面談をして「申し訳なかった」と自分のスタイルを謝りました。自分のした間違っていたことを素直に謝りました。そこから雰囲気がガラッと変わり、信頼関係が急に築けるようになったように感じました。

 

- そこから「共感する」ことで初めて教育や育成ができると気づいたわけですね。

そうですね。自分がオープンマインドで、変なプライドなどを持たずに素直にいるということで相手も信頼してくれるようになるということに気づきましたね。もしかすると、立場というものに固執してしまっていたのかもしれません。一緒に働く上で互いを認め合うことが信頼を生み、そこから育成できるようになるものだと気づきました。

 

時代の変化と、柔軟に対応することの必要性

- その気づきから数年が経って経験を積んできたと思うんですが、当時と今だと違いはありますか?

やはり時代の変化とともに、人の違いは大きくあるなと感じます。それは世の中の変化にもよると思うのですが、今の若い世代(20代前半)のスタッフはやっぱり違いますよね。もちろん、人は皆違うものなのですが、最近は持っている特性というか特徴が違います。

 

- 具体的にどのような違いがありますか?

今の若いスタッフは「仕事は仕事」「プライベートはプライベート」という境界線がはっきりしていますね。時代がより良い方向に向いている証拠なのは間違いありません。プライベートの時間をしっかり確保させてあげるのは職場環境を整える側の僕の仕事としては当たり前で、仕事としてのタスクを明確化する必要があるのかなと思っています。タスクを明確にすることで、今の若いスタッフはとても意欲的に仕事と捉えて取り組んでくれます。その反面、明確にしないタスクには抵抗感があるのか、意欲的ではないような雰囲気を垣間見ます。

 

- ある意味、輝ける場所を用意すると凄い輝くけど、「自ら輝け」という指示には反応が弱いということなのでしょうか?

そんなイメージですかね。ですので、しっかりと強弱を出すことで意欲や積極性などを引き出すことができるのではないかと思っています。例えば、出来たことや成果についてはめちゃくちゃ褒めるようにします。そうすると、そこについては継続的に能力を発揮しようと努力してくれますし、積極的に取り組んでくれます。一方で、弱い(不得意な)部分に関してはそっと寄り添うことが必要となります。一昔前のスパルタな店舗だと怒鳴られたり、キツく叱られたりして這い上がるよう仕向けられていたシーンでは、共感しながら共に乗り越えるようなイメージでないと、なかなか前進性がみられないです。

成功体験や成果を他人から褒められたり評価されたりすることを求めているような気がします。

 

- 促すことでより一層良さを発揮するということなのでしょうか。

仕事は仕事として公私混同せず取り組むようにと伝えれば取り組みますし、良い意味で純粋というか・・・まあ、仕事なので当たり前なんですけどね(笑) 育成という点で言えばベテランスタッフの方が自分のスタイルや働き方を持っているので時間がかかる部分はあるかもしれません。

 

店長を教育し、スタッフを育成する

- 立場的に店長という部下を教育しながら、スタッフを育成するように促さなくてはいけないですよね。その際にどのように店長を教育していますか?

自分が分かっていても相手は理解していないということが前提で、人によって伝え方を工夫する必要がある。そして、本当に理解しているかどうかを確認するように指導しています。これは自身の経験からなのかもしれませんが、オープンマインドでコミュニケーションを取った上で理解を得られるということを教育したり、店舗をうまく動かす上で重要だというように伝えてますね。

 

- 確かに店長という存在は店舗の責任者でありトップの存在ですよね。

店長達には「責任感」というものを持つことの重要性を伝えています。あーだこーだと言っても起きてしまった事には理由があって、それの責任はどのような形でも発生するものだということを意識づけしています。店舗のオペレーションにおける業務ミスのほとんどがコミュニケーション不足、つまり「ちゃんと伝えられてなかった」や「伝わっていなかった」というケースです。スタッフのミスを、スタッフだけのミスに済ませてしまったらチームである意味もないですので。

 

- ロングインタビューありがとうございました。

 

部下を抱える店長への教育と育成は、スタッフを育てる存在としても育成しなくてはいけない存在。自身の想いをどのように伝達していくのか。より細かいコミュニケーションと情報の開示が必要になるのではないか。このインタビューはあくまでも一つのケースでしかない。それぞれの育成方法や教育方法があるなかで、どのように取り組むのかも人それぞれかもしれない。

 

自身の失敗と成功を繰り返しながら自身のスタイルを見出した渡邊のノウハウを今回は紹介しました。