時代の変化とともに、働き方の自由度も上がってきた現代。コロナ禍以降はオフィスに出社せずとも良い労働環境となり、より自由度が増しました。それにあわせて、働く上でのキャリアビジョンも様々な様相を見せるようになりました。転職活動も活発化し、「終身雇用」というワードは過去の産物になりつつあります。

では、自由度の高まる昨今の労働環境の中で、人はどのように自由にキャリア形成をしていくことが求められるのでしょうか。自由度が増したからといって”なんでも自由で良い”というわけではありません。では、自由なキャリア形成とは、どのようにして成り立つのでしょうか。そして、自分の理想のキャリア形成はどうやって実現できるのでしょうか。

 

そもそもキャリア形成は大事なのか?

「キャリア形成って大事なの?」「勝手にステップアップできるんじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際にはキャリア形成について考えた上で働いていなくては後悔してしまうことも。昨今、テクノロジーの進化により顧客のニーズが大きく変わったり、市場が急拡大・縮小したり、さまざまな価値観が生まれたりと、これからどんな未来になるのか、誰にも予測することはできません。今までは旧式の終身雇用制度が主な就業形態で、つまり定年まで1つの企業でキャリアを積むことが一般的でしたが、現在は転職や独立、あえて非正規社員として働く人も増え、雇用形態は多様化しました。また、リモートワークや時短勤務など、働き方についても自由度が高くなり、自分に合った働き方を自分自身で探す必要性があります。つまり、自由度が高まった分だけ自分自身への責任が増したことにもなるのです。

 

自由なキャリア形成において大切なこと

自分で自由にキャリアを選択しやすい時代だからこそ、ポイントがあります。

 

ポイント① 周囲と比較しない・合わせない

特に重要なのは、周囲と比べたり、周囲に合わせたりせず、自分の価値観に沿って形成することです。

他人が決めた価値観に合わせて考えると、社会人になってから後悔することがあります。たとえば「組織のマネジメントを目指す」ことが普通となっている風潮の中、マネジメントに関心がないのにもかかわらずその道を安易に目指すと、マネージャーになってから苦しい思いをするかもしれません。自分の価値観を見極め、それに沿ってキャリア形成を考えることが大切です。

 

ポイント② 具体的な計画を立てる

キャリア形成には将来的な未来の姿を、具体的に計画を立てることが大切です。将来やるべきことを明確にすることで「やるべきこと」を考えながら有意義に働けるためです。ただ、途中で考え方が変わることもあるので、計画は細かくしすぎず、3年、5年、10年などの長期的なスパンで考えるのがオススメです。

 

ポイント③ ポジティブに未来を考える

キャリアを考えていると「この道をかなえられる人は少ないからどうせできないだろう」などと、ついついネガティブになってしまいがち。だからこそ、シンプルなことですが、できるだけポジティブに考えることが大切です。「自分ならできる」などまずはポジティブに考えることで、「あれもやってみたい」「これも挑戦してみたい」とポジティブな発想が浮かびやすくなり、明るいキャリア形成がはかどることでしょう。

 

 

なりたい姿を考える

キャリアステップで大切なのは、まず「なりたい姿」について考えることです。その姿を目指して具体的にやるべきことを考えてみましょう。

 

「WILL・CAN・MUST」

・WILL:やりたいこと。欲求や動機

・CAN:できること。経験や能力、スキルや強み

・MUST:やるべきこと。社会が必要としていること

 

なりたい姿や目指すべきゴールを見つけるには、WILL・CAN・MUSTの3つの視点で考える方法があります。「自分に合う仕事がわからない」「自分はどのやって仕事に向き合えば良いのか」と悩む人は多いと思いますが、この方法でマッチする働き方や仕事内容を考えることができます。WILLとは関心を持ったり挑戦したいと思うもの、CANはすでに持っている強みや得意なこと、MUSTは社会から必要とされている力やスキルです。これらを考えたうえで、その共通点から自分がなりたい姿を導き出してみましょう。

 

自分にとっての仕事の位置づけを考える

そもそも自分にとって仕事とはどのような役割を担うのかを考えることも大切です。「生きがい」「趣味をするお金を稼ぐためのもの」「自分を成長させるもの」など、人によって仕事に求めるものはさまざまですよね。自分にとっての仕事の位置づけ、つまり自分が仕事に求めることを考えることで、選ぶべき企業=進むべきキャリアの方向性をつかむことができます。

 

なりたい姿になるためのプランを考えてみる

キャリア形成のゴール、つまり「なりたい姿」を考えたら、その姿になるためのプランを練ってみましょう。

プランの考え方には、川下り型、山登り型があります。川下り型は、具体的な目標を設けず、目の前の仕事を頑張る方法です。この方法であれば、柔軟にさまざまなスキルをつけることができます。

対して「海外で働きたい」「マネジメントをしたい」など、具体的な目標がある場合は、最短距離で目標に到達する山登り型が適しています。もちろん、川下り型、山登り型は組み合わせることも可能です。たとえば「若手のうちは流れに身を任せていろいろなことにチャレンジし、働いてみて5年経過したら、その中から自分に合ったキャリアを見つけて目指すべき姿を考えてみよう」といった考え方でも良いのです。

 

未来のために必要なスキルを考える

自身のなりたい姿を実現するために必要なスキルを考えてみましょう。今回はキャリア形成時に必要と言われているいくつかのスキルをご紹介します。

 

その① 人間関係構築力

仕事をする上でも、自身のライフスタイルを豊かにするためにも大切なのは、人間関係を構築する力です。企業で働く場合、社員が協力し合い、企業が掲げる1つの目標を達成することが働く上でも目標となります。そのために円滑なコミュニケーションと、良い人間関係を築くことが、仕事をスムーズに行うには大切です。また、顧客を相手にする営業職なども同様であり、顧客と信頼関係を築くことができると購入につながり、成果を上げることができるのです。仕事での実績はもちろんですが、周囲との人間関係を構築する力が大切と言えます。

 

その② 自己分析力

キャリアを築くうえで大切なのは、自己分析力です。日々の生活の中で自身について客観的に考えることは難しいものです。時間がなかったり、ついつい忘れてしまったり。思い出した時に数分でも良いので自己分析をしてみましょう。自己分析をして日々現状と、目指す姿とのギャップを埋められるよう意識して活動していると、なりたい姿に早く到達することができます。自身の立ち位置と併せて、自身の強みや弱み、身に付けるべきスキルなどを自己分析することで、より自分のなりたい姿が明確になるのと併せて、キャリアの方向を定め、成長するための重要なものとなります。

 

その③ 課題解決力

キャリアを築くために必要なのは、「今何が問題であり、どう対応すべきか」を考えて行動する課題解決力です。課題を見つけて、それに向かって行動をするということです。自己分析力と似ていますが、特に、自身の弱みやスキル不足になっている点を見つけ、解決することが自身の成長になり、未来のキャリア形成につながります。仕事をしていると、たくさんの失敗があります。そこで「なぜ上手くいかないのか」「どうすればうまくいくのか」を自問自答し、解決策を見つける、ということを連続しておこなうことで、気づいた時には大きな成長となり、自然とキャリアを積み上げ成長することができるのです。

 

 

自由度が増す昨今の働き方。自由であればある程、自分自身に責任がのしかかりプレッシャーもかかります。ですが、自分のなりたい姿を実現したときには、何もにも変え難い充実した日々を手に入れることができるでしょう。今一度、自由にキャリア形成のしやすい現代において未来のなりたい姿について考えてみてください。