気温の高まりとともに、夏の兆しを感じながら窓の外を眺める。窓を開ければ爽やかな香りと共に、どこか今まで感じたことのない新鮮さと太陽の温かみを感じる。

 

4月上旬、政府による緊急事態宣言の発令後、ほとんどの商業施設が営業自粛・休業を行った。そして、5月の連休GWを終え39県で緊急事態宣言の解除が行われ、日常の生活を取り戻そうとしている。しかし、ウイルスに脅威は消えたわけでなく、メディアでは新たな生活様式なるものを取り入れるよう報道されている。

 

5月も下旬を迎えようとしている。

商業施設やショッピングセンターでは営業時間の短縮やアルコール除菌の徹底などの工夫をすることを前提に営業再開へ向けて歩みを進めている。

 

しかし、営業再開をして今まであった景色が戻ってくるのだろうか。

そんなことを思いながら、これからの販売の現場の姿を考えてみたいと思います。

 

「距離を保つ」ことが必須条件

小池東京都知事の「三密」という言葉がキーワードにあるように、お客様と一定の距離を保つことは必ず求められるだろう。今までなら、しっかりと距離を詰めて、しっかりと”密”に接客することを求められてきた販売現場においては真逆のことを求められることになりそうだ。

 

もちろん、「接触時間を短くする」という事から、接客トークの時間も短くすることが求められるだろう。接客の際のマスク着用も商業施設や運営会社から求められることにもなる。お客様の表情も見分けることもできず『接客』においては非常に不利な環境になってしまうだろう。

 

とは言っても、お客様にご来店いただいた際には全身全霊でお迎えし、お買い物を楽しんでいただけるよう環境を作る努力が必要だ。

 

新たな接客様式を模索する

このように、これからの販売の現場に起きうる現実を述べてはいるが、実際にはこれからの販売現場でするべき新たな接客様式というのは誰もが見いだせていないのではないだろうか。

 

実際、お客様の来店数や、来店時のお客様間の密度を推し量るのは非常に難しい。

若者に人気のファッションタウン原宿は、緊急事態宣言後の外出自粛を受け、人の数が前年比約25%ほどまで落ち込んだ。そして、解除の兆しを見せているこの頃でも前年比約35%ほどというのが現実だ。「人が戻ってくる」には時間が必要となりそうだ。

 

ブランド・ショップの総力が鍵となる

これからのファッションビジネスにおいては、ブランド全体としての魅力や、ショップとしての総合力のようなものが重要となってくるのではないか。例えば、今までは店頭での接客販売に重点を置いていた企業や店舗も、ECの活用やSNSの活用を行い、「オフライン=リアル」な現場だけでなく、「オンライン=デジタル」の部分でも力を発揮することで、総合力でお客様に魅力を伝えていく必要がある。

 

今までも、なんとなく「通販」や「SNS」を取り組んでいた企業やメーカー、ショップも本格的に力をいれ、店頭で接客ができないお客様にも魅力を発信し、ファンになってもらう努力が必要となるだろう。

 

具体的な数値で言えば、EC化率20%だったショップやブランドも、EC化率を45%に上げるなど、デジタル化を進める必要があるのではないだろうか。かといって、お店に来るお客様がいなくなることは無い。来てくれたお客様には今まで以上に誠意を持って対応する必要がある。新たな接客スタイルを見出すことが、カギになりそうだ。