昨今、街中の若者たちのファッション界隈を席巻しているスタイル『Y2K』。”それはなんだ?”と心の中では思いながらも、今さら聞けない・・・なんて人も多いのではないでしょうか。『Y2K(ワイ・ツー・ケイ)』といても、あくまでも造語や略語のようなもので、実際にはある時代のファッションを表現したワードなのです。

 

Y2Kファッションとは

Y2Kとは「Year 2000」の短縮形の造語であり、Kはkgやkmでおなじみの1000という意味を表しています。

お腹見せやミニ丈、ボリュームシューズなど、今から約20年前にあたる2000年頃に流行したファッションがいわゆる「Z世代」に「Y2Kファッション」として受けています。日本で流行したギャル系ルックにも通じる装いで、世界的なブームになっていて、欧米の若きセレブリティの間でもY2Kルックが大流行を見せています。今回はこのY2Kファッションを読み解いていきたいと思います。

 

なぜ今さら2000年代のファッションなのか

今をときめくZ世代。その定義は「1990年代半ば~2000年代終わりに生まれた世代」。ざっくり10代~20代にあたります。「ジェネレーションZ」とも呼ばれ、生まれたときからスマートフォンがあった世代です。つまり、2000年当時をあまり知らない年頃なのですが、なぜあえて2000年代のファッションを好んでいるのでしょうか。

「Y2Kファッション」の共通点は、ポジティブ気分や未来的ムード、キュート感など。短め丈トップスや厚底ブーツなどが象徴的なアイテムです。ケミカルな色使いやキラピカの素材にもパワーと元気感が宿ります。こういった気持ちを上向かせるようなおしゃれは、制約の多かった2年間を経て、若い人たちが望むようになったものかもしれません。2000年当時のおしゃれアイコンだったのは、LAセレブの代表格だったパリス・ヒルトンや、ポップスターのブリトニー・スピアーズ。派手め、リッチテイスト、自己主張を印象づける装いが持ち味でした。このような押し出しの強さには堂々とした自信がみなぎる凜々しさがあり、その雰囲気も「自分らしさ」を大切に考えるZ世代に支持を得ているのです。

 

当時そのままにではなく、今の時代に沿ったY2Kファッション

決してファッションムーブメントのリバイバルだったとしても当時のままでなく、モダンに今風にアレンジして楽しまれています。

復活した理由の一つに、流行のサイクルも挙げられます。ファッションのトレンドは20年周期といわれており、Y2Kもちょうどその20年周期のタイミング。一度忘れ去られたファッションカルチャーが今のZ世代には新鮮に映っているというわけです。昨今のリバイバルで目立つのは「ヘルシーな肌見せ」です。バブル時代のボディコンシャス(ボディコン)とは違って、もっと健康的な見せ方で、メンズアイテムとのミックスでジェンダーレスに仕上げているのが特徴です。ハイブランドやラグジュアリーブランドもこぞって2022年春夏コレクションでZ世代向けにファッションを提案していたのが新鮮です。世界でのファッショントレンドの基準となるパリコレでもY2Kファッションがテーマになっており、欧米では欧米のY2K時代をモチーフにしたアイテムが登場しています。

 

韓国発・中国発のY2Kブーム

20年前のトレンドと大きく違うことは、Y2Kファッションの発信源の中には韓国・中国発のものも多いということです。当時は国内のブランドと、渋谷や原宿のギャルがトレンドの牽引者でしたが、今トレンドのY2Kファッションでは、日本ではギャルファッションだけではなく韓国・中国から入ってくるトレンドも混ざっています。例えば、人気K-POPガールズグループ「BLACKPINK」や「New Jeans」などのミュージックビデオでは、Y2Kファッションを取り入れた衣装が登場します。

Instagramでハッシュタグ「#Y2Kファッション」がついた投稿を見てみると、アメリカンな雰囲気のコーディネートだけでなく、K-POPアイドルが衣装で着用したことでトレンドになっているアームカバーやチェック柄のスカートなどが見られます。そしてもう一つ、大きなトレンドとして注目されている「ジェンダーレスファッション」が今のY2Kスタイルには組み込まれています。ジャージスウェットやキャップなど、ビタミンカラーのスポーティカジュアルがY2Kファッションに組み込まれたり、メンズファッションでもミニ丈やタイトなトップスが取り入れられるなど、ジェンダーレスで自由な着こなしがカッコイイのです。

 

 

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Y2Kファッションは、単なるファッショントレンドとい枠を超えてひとつのカルチャーとして確立しています。

当時20代だった世代の方からすると懐かしいアイテムに見えるかもしれません。ですが、Z世代からすると「懐かしい」という感覚よりも、「憧れのアイドルが着ていたカッコイイ服」「他の人とはちがう個性を出せる」「とにかくかわいい」といったように、単純に気に入ったアイテムを着ているだけなのです。決して懐古的な感覚ではなく、時代の先端をいくアイテム達なのです。