2018年9月にクレセントアイズ初となる”リラックス”をキーワードにした自社運営ショップ「hilal ay(ヒララ)」を札幌に出店した。そして、初のルームウェア・パジャマなどのリラックスウェアを中心に展開する自社ブランド「hilal ay(ヒララ)」を店舗出店に合わせてスタートさせた。

 

時代の変化に合わせた、複合性と新たな組み合わせでhilal ayならではのオリジナリティを発揮している。アパレル業界が大不況に陥る中、新たなポジションを確立しようとしているのではないだろうか。今まで以上に冷静な判断が必要とされる状況下で、次なるステップをどのように考えているのだろうか。引き続き、クレセントアイズ社長の村田にインタビューを行った。

 

 

ファッション業界の分布と実情を知る

- 大不況とも言われるファッション業界ですが、現状をどのように捉えていますか?

アパレルと言っても、ファッション業界の流通の多くはレディースファッションで成り立っていると思っていて。僕のイメージとしてはレディースが7割。その他がメンズとキッズ・子供服、その他インナーなどといった構成だと思っています。そして、海外や日本以外の多くの国では、ファッション産業といえば、ルイヴィトンやグッチなどのハイブランドか、H&MやZARAなどのファストファッションなのか、極端に言えばその二択だと思うんです。もちろん、セレクトショップや街のブティック的なものは欧米には点在していますが、大きな産業の流れの中にはいないニッチな層だと思うんですよ。

バブル時期から日本には独自のファッション文化が広まり、日本全国を駆け巡っていました。ハマトラファッションやらフレンチルックやらアメリカントラッドなど。それもあって日本には世界のファッション産業から観れば特異な市場形態を持ち合わせていたのではないのでしょうか。それが世界的に情報格差がなくなり、日本もワールドスタンダードの波に飲まれたことにより、世界のファッション産業の構造に近づいていっている途中だと思うんですよ。

 

- 日本のファッション産業も極端に二極化しているとしてhilal ayはどのポジションにいるのでしょうか。

立ち位置としてはレディースファッションではなく、生活雑貨やインナーに近いポジションだと思っています。市場規模は大きくなくとも入る隙間はあるのかなと。競合他社もアパレルアウターファッションに比べればとてつもなく少ないですし。なので、少しづつゆっくりと自分達にとって最適なポジションを見つけ出す必要があると思っています。

 

hilal ayのこれからと未来

- hilal ayでは具体的にどのような展望を描いていますか?

展望なんて大そうな事は言えませんが、クレセントアイズの一つの事業としては小売業がこれから必ずしも明るい未来が待っていると言えない以上、自分達でビジネスを拡大していくための存在として永続的に続けていくというのは目標ではあります。フレグランスとルームウェアという組み合わせの業態って多くはないと思っています。その中でも3年間続けられているということは、ある程度頑張っている方なのではないかと評価しています。

理想としては、一つは全国10店舗程度の規模で商品を展開し販売すること、そして安定した売上が全店舗で確保できる。それができれば、新たな試みとして始めたビジネスとしては合格点なのではないかと考えています。

 

- お話を聞いていると、アパレル産業自体が飛躍的な拡大は難しいと。そうなると、これから”アパレルを始めたい”や”ブランドを始めたい”と思う人がいたら、進むべき道と言いますか、とるべき手段と言いますか・・・新たなアパレルビジネスの形を一つ体現しているということなのでしょうか。

そこまで偉そうなことは思いません。ただ、業界の現状は達観して分析するべきですよね。そして、現状を踏まえた上で自分達がどこに向かって進むべきかというのは理解していないといけないのかなと思います。とは言え、ストリートファッションやヴィンテージなどファッションの中にも細かく細分化されたジャンルがあり、特異性を持った存在であれば市場自体が大きくはなくともビジネスとして成立すると思います。

あくまでも、アパレル業界でビックビジネスをしようと思うと今までのようにはいかないよということです。

 

- 長い時間にわたるインタビューのご協力ありがとうございました。

 

 

近年、情報の世界的な格差が無くなったことにより日本におけるファッション産業は変化が変化が起こっているように思える。例えば、ほんの10年前は雑誌の読者モデルや雑誌の連載を追いかけムーブメントが起きていが、今では海外の流行を取り入れ、そのタイムラグも非常に無くなっている。昨今の韓国ファッション、韓国メイクブームは代表的な例だろう。

 

時代は確実に変わっている、しかし、ファッションに想い馳せる若者は未だに少なくない。ビジネスというものが難しくなっている一方で独自の「型」を見出すことが求められているのかもしれない。一体、この先の10年はどんな時代が待っているのだろうか。ちょうど10年前にも同じことを思っていたような気がするが、今を想像したことはなかった気がしている。