前編に引き続き、VMDに関するクレセントアイズ流のノウハウをお届けします。
ここで一つの疑問が。
「具体的なVMDのポイントとは?」

そんな質問にも高田VMDは笑顔で答えてくれた。
高田:正直なところポイントといってもそれぞれですからね。色んな要素を組み合わせますし・・・あと、ルールという制限のようなものがないので。でも、今はアパレル業界が不振というのもあって、「売れるよう。売れるよう。」と意識しているVMDが多い気がします。売れる商品をガンガン前出しするみたいな。
高田:それもそれで良いと思うんですが、もっと違う表現方法はないのかなとも考えながらリサーチを行ったりしています。
ポイントの一つはブランドの持つカテゴライズとテーマ性を展開すること

―何か一つVMDのポイントを例に出して教えてください。
高田:ん~・・・そうですね某レディースブランドを例に出すとすると、そこのブランドのメインアイテムがメッセージ性の強いアイテムだったんですよ。もちろんそれを売りたいのは分かるんですが、それだけを前出ししても中々お客様にとってはとっつきずらいし、ショップに入りずらいんですよね。そこで、ショップ内でそのメインアイテムのメッセージを伝えるために、ラックや什器をカテゴライズしたんですよ。
―どのような手順でテコ入れをしたんですか?
高田:まずはショップ内を大きくカテゴライズしました。「メインゾーン⇒カラバリエーションを見せるゾーン⇒高額ゾーン」のような感じですね。メインアイテムが柄物だったので、メインゾーンにトラディショナルな雰囲気をもたせてテーマ性を強調しました。
高田:ショップのカラーバリエーションゾーンには”リゾート”といったテーマ性を持たせながら、カラーバリエーションが豊富で価格帯のやや低いアイテムをボリューム感を持たせてディスプレイ。高額ゾーンにはレザーやヘビーアウターを中心とした高額商品をディスプレイしました。入口からショップをぐるりと回るだけでお客様のモチベーションというか、気持ちを盛り上げていくような感じですかね!
高田:もちろんメインビジュアルゾーンでお客様の購買モチベーションを上げつつ、店内に入ると徐々にモチベーションをあげるような感じですかね。そうするとお客様がラック前で足を止めるようになるんですよ。そうなれば自慢のショップスタッフの方々がとても良い接客をしてくれる!そして接客の中で、ラックごとのテーマを意識させながら、自然の流れでメインアイテムをご紹介する流れができていました。
―つまり、この例ではテーマ性とカテゴライズのバランスがポイントということですか?
高田:その通りです。メインテーマに合わせたカスタマージャーニーを創造するみたいなところですかね。もちろん、そのVMDコンセプトをスタッフの方々とも共有しました。「スムーズに接客ができるようになりました!」とありがたいお言葉までいただきました。
よくあるVMDの失敗例

―よくあるVMDの失敗例とかってありますか?
高田:「全体感」を忘れてしまうという失敗ですかね。
―全体感とはどういうことですか?
高田:細部にこだわっていて、ふと気づくと全体的にまとまりがなかったり、バラバラになっていたり。逆に偏りすぎていたりっていうことがあります。
高田:例えば主軸商品のデニムを売りたいときに、気づくと全部のマネキンがデニムを着用させてしまっていたりですかね。あとは、ブランドのビジュアルとメインで展開している商品のテイストにギャップがありすぎてしまったりとかですかね。
―テーマ性やカテゴライズを行いながらも、ショップとしての全体感やビジュアルバランスは保たないといけないということですか?
高田:その通りです。これが難しいんですが、意外とショップの商品をすべて把握できていると簡単なんですよ。パズルみたいな感覚ですかね。パズルって最初は時間かかるんですが、半分くらいから次々はめていけるじゃないですか。ピースが減って、ピースの形を覚えだすと早いって感覚ですかね!
VMDでやってはいけないNG事項
―ここでVMDでやってはいけないことを教えてください。
高田:本当に基本的なことになると思います。VMDの基本はショップ全体を隅から隅までコーディネートすることです。掃除が行き届いていないのも、ちゃんとVMDできていないこととなります。あとは「ブランドコンセプトを理解していない」や「売れている商品と見せ筋商品を把握できているか」、「お客様が迷子になる売り場ではないか」、「季節性やテーマ性は実需とマッチしているか」とかですかね。
―チェック項目をつくるとしたらどうですか?
高田:こんな感じですかね!
【チェック項目】
□しっかりと清掃はできているか
□ブランドとしての打ち出しが明確かどうか
□売れ筋と見せ筋を把握してるか
□商品分量は適切か
□シーズンを混在させて商品を展開していないか
□お客様のテンション(モチベーション)と商品があっているか
□現実需要をとらえながら、ショップのコーディネートができているか
ありがとうござます。
お客様目線こそ原点

―最後にVMDに関するメッセージをお願いします!
高田:メッセージ・・・そうですねぇ。。。一つ言うとすると、お客様目線でショップを見ること。そしてVMDについて『頭の中ではなく、身体で覚える』くらい熟知すること。
高田:こんな感じでいかがでしょう。笑 これから出張なので、もういいですか?
―大変失礼いたしました。。。ご協力いただき、ありがとうございます!
いかがでしたでしょうか。
二部にわたって連載した「クレセントアイズのVMD流儀」。これをヒントにVMDを見直してみるのも良いかもしれません。
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