富裕層に向けたミステリーショッパー実施とはどういうことなのだろうか。そもそも富裕層とはどのように定義されるのだろうか。そして、その富裕層と呼ばれる人(=お客様)はどのような購買志向を持ち合わせるのだろうか。

 

富裕層という定義

昨今、商業施設ではこぞってターゲットとする「ミレニアム世代」や「Z世代」。しかし、その実態は掴みきれていないように思われます。日本の富裕層の定義は明確に定まっていませんが、野村総研研究所の調査では、純資産保有額が1億円以上5億未満の世帯を富裕層としています。そして、5億円以上の世帯を超富裕層としています。

 

日本の富裕層は、127万世帯いると推定されています。そして、”お金持ち”にはいくつかのタイプがあると言われています。

タイプ1- 昔からのお金持ちです。昔からのお金持ちは、無駄遣いはしませんがイベントや家族旅行などには、大きな金額を使うと言われています。一軒家を維持する費用などもしっかりキープするタイプです。

タイプ2- コツコツ型お金持ちは、医師や弁護士、自営業などの職業の人にタイプです。彼らの特徴は、忙しくて時間がないというところです。一生懸命働き、コツコツと貯めてきた人たちは、限られた時間で効率的にお買い物がしたいタイプが多いと言われています。

タイプ3- 突然のお金持ちなる人です。突然のお金持ちは、親の遺産などを理由に突然1億円以上の資産を持つ人たちです。親が亡くなったことで土地や家を相続することになり、資産が1億円以上になる。日本人の富裕層は、結構この突然のお金持ちが多いと言われています。

 

富裕層といってもタイプは異なり、それぞれに特徴があります。そうなると、当然のことながら富裕層のタイプ別にニーズが違ってくるのがわかります。

経営者によるミステリーショッパー

私たちクレセントアイズでは、経営者にミステリーショッパーの調査員をお願いするケースがあります。高額所得者の目線で調査するのです。接客の中で、お客様のライフスタイル、家族構成やお買い物の考え方などを引き出すことが出来ていれば、接客の方法に迷うことはありません。販売スタッフは、自分の価値観で接客をするのではなく、常にお客様の価値観を思い計り、お客様に気を遣わせることなくニーズに応えなければなりません。販売スタッフが時間をかけて、お客様のお買い物に対する考え方を把握することができれば、販売スタッフを信頼し、お薦めした商品を納得して購入していただくことができるのです。

 

高所得者の中には”Tシャツは消耗品”と考える方がいらっしゃいます。その一方で、丁寧に洗濯をして大事に長く着用されるという方もいます。つまり、高額所得者だからといっても、全員がなんでもポンポンと買うというわけではありません。お客様一人一人の価値観は違うと言うことです。先入観なしに、質問力でニーズを知ろうとする姿勢が大切なのです。

ミステリーショッパーでは、そのニーズの引き出しのレベルを知ることが出来ます。例えば「バックが欲しい」というニーズに対して、”仕事で持つものなのか?” “プライベートで持つものなのか?” “何を入れるのか?”などは最低限の質問として販売スタッフをしていればわかるでしょう。

 

 

ワインショップの経営者が仕事で何本ものワインを入れるバックを探していました。当然のことながら、大きいバックが必要なわけです。「仕事で使いたい」と伝えたのですが、その後の販売スタッフの聞き出しが少なく書類の入るバックを勧められてしまいました。当然のことながら、高額商品を取り扱う店舗では、なぜその商品が高額なのかの理由をしっかり説明する必要があります。しかしながら、一方的に良かれと思って商品説明をしても、お薦めしている商品がお客様の価値観、ライフスタイル、ニーズに合っていなければ良い結果を得ることはできないのです。

優秀な販売スタッフは無意識のうちにお客様の来店時の服装などを観察し、好きな色や好きなスタイル、靴の好みなどを推測します。ほぼ全てのお客様が「今日は大嫌いなものを着てきました!」と言わないでしょう。

 

以前、ラグジュアリー商業施設で30代から50代の経営者にミステリーショッパー調査員をお願いしたことがありました。本来のお客様と同様にサービスのニーズをお持ちの調査員に評価をしてもらう必要があったからです。

経営者調査員が感じたことの中に「ブランドの歴史やコンセプトなどは理解しているしセールストークもうまいと思うが、もう少し自分に興味を持ってもらいたい」という感想が多く見受けられました。売上に執着することは悪く無いのですが、今目の前にある売上に執着しているのが透けて見えてしまっているのです。良い接客であればそのブランドやショップ自体を好きになるでしょう。ですが、販売スタッフには「次がある」と言う意識が少ないがために、リピーターとしてのお客様への価値提供を疎かにしてしまうのです。

オンラインショップがこれだけ普及し、ブランド商品でもポチッと購入とすれば翌日に商品が届く時代。ですが、それでも店舗に来店し、笑顔で会話をしているお客様と販売スタッフの姿は絶えません。対面接客の時には、年代関係なく自分のライフスタイルを理解してもらい、楽しい会話をしながらのショッピングを求めているのです。

 

withコロナと叫ばれる今の時代。改めてミステリーショッパーを実施し、より良い販売接客を行うことがビジネスの成功につながるのではないでしょうか。ぜひ、クレセントアイズのミステリーショッパーサービスをご利用してみてください。