2023年も残りわずか。年の瀬も迫り、少しずつ1年の終わりを感じるようになりました。スーパーマーケットには鏡餅やしめ縄が売り出され、お節の文字も見かけるようになりました。
小売をしていると1年で最も盛り上がりを見せるのが、冬のセール商戦です。クリスマスや年末年始を控える12月は1年で最も消費意欲指数が高まる月です。12月中旬から1月にかけて各業種・各商業施設で行われる「セール」は、値引き率も大きく多くの人が消費行動を見せます。また、売り場の雰囲気もあいまって、ついついお財布の紐が緩くなってしまいがち。2020年のパンデミック以降、消費行動が控え気味に予測されていましたが、2023年の初売りでは各社の盛り上がりはパンデミック以前の様相と変わりない姿を見せていました。そして、来たる今年のセール商戦はどのような消費行動が見込まれるのでしょうか。
セール商戦とは
セール(年末)商戦とは、クリスマスや年末の物入りな時期を商機とし、売上アップに向けてセールやオリジナル商品の投入など、さまざまな商売戦略を行うことを意味しています。年末のセール商戦の時期は、いつからいつまでという定義はないですが、ギフトの予約や「ブラックフライデー」に向けたキャンペーンを含めると11月後半から本格的にスタートし、年末にかけての期間と言ってもいいでしょう。
この時期は、お歳暮やクリスマス、お正月準備の需要により消費者の購買意欲が特に高まるとされています。プレゼント需要は12月15日前後からクリスマスイブに向けてがピークとなり、おもちゃやゲーム、貴金属、電化製品、ブランド品などの売上アップが見込めます。一方で、最近は自分自身の「ご褒美」にお金を使う傾向にあり、売れる商品のジャンルも多様化しているという側面もあります。また、お歳暮用の食料品やお酒、年末年始用の食材やおせちなども売上を伸ばす時期であります。商材の特性によって規模や特徴は様々ですが、実店舗、ECサイトにとって集客や売上アップのチャンスとなる年末商戦は、年間を通して重要な時期と考えられています。
今年の消費動向トレンド
昨今の社会情勢から、2023年〜2024年の年末年始時期も円高や物価高が続くことが見込まれることから、家計負担が大きく節約志向が働き出費を抑える傾向になることが予想されています。ですが、直近5年間では2021年に次ぐ2番目に高い消費動向指数が見込まれております。
ですが、ネガティブ要素も考えなくてはなりません。アフターコロナでの消費マインドは、価格が高くても購入したり、遠方への旅行に行ったりと、今夏のお盆動向をみると、節約一辺倒ではなく価値あるものにはしっかりとお金を使う”節約”と”奮発”といったメリハリをつけた消費傾向がみられました。例年通り年末年始を楽しみたいモチベーションがあることが予想されるので、「価格」以上に「価値」をいかに伝えられるかが年末商戦の消費動向を左右しそうです。
人気が予想される商品
エレクトロニクスおよびハイテクガジェット
例年通り家電・ホビーといった商品への関心が高いと考えられます。テレビ、ラップトップ、スマートフォン、ゲーム機、スマート ホーム デバイスなどの品目の大幅な価格下落を期待できるためです。小売業者は在庫を一掃して来年のモデルに道を譲るために、その年で最も販売力のある価格を提示するために、大きな盛り上がりを見せることが考えられます。
ファッションとアパレル
冬のセールではファッションやアパレルも大幅に割引されることから大きな賑わいをみせます。昨今ではオンラインストアでも実店舗同様に大幅なセールを実施します。小売業者は前述の家電製品などと在庫一掃を意図しています。
おもちゃとゲーム
年始のセールというよりは、クリスマスなどのホリデー シーズンにおもちゃ・ゲームの売上が急増します。クリスマスギフト需要にあわせたものです。
美容およびパーソナルケア製品
昨今人気のアイテムの上位に入ってくるのが美容製品やパーソナルケア製品です。自宅でできるセルフ美容アイテムの充実もあり、セールイベントでの割引が増えています。高級スキンケアや化粧品からグルーミングツールやフレグランスに至るまで、これらのアイテムは自分用としてだけでなくギフトの選択肢として人気があり、大幅な売上が発生します。
例年以上に盛り上がりを見せることが予想される2023年の年末から年明けにかけて続くセール商戦。皆様は、お目当ての商品や欲しかった商品などはありましたでしょうか。商品をたくさん売りたい販売店と、お得にたくさん買い物をしたい消費者。双方の掛け合いによって経済が大きく動くもの。
今年のセール商戦を思い切り楽しんでみてください。