いよいよ迫ってきた年の瀬。2022年はこれを読んでいるあなたにとってどんな1年だったでしょうか。街中には外国人訪日客も増え始め、コロナ禍前のインバウンド需要も少しづつ戻ってきたような気配があります。「店舗は厳しい」と逆風が強い昨今のアパレル店舗で販売員として日々苦労してきたことも多いのではないでしょうか。

そんな中でもアパレル店舗で大きな盛り上がりを見せるのが「セール」です。中でも年始に開催される”初売り”はアパレルショップにとって売上げを大きく伸ばすチャンスの時。その”初売り”を成功させるために欠かせないのが「事前準備」です。しっかり準備をすること、いくつかの工夫、それらによって作業負担を減らせたり、お客様へのサービスをより良いものにできます。

今回は、セール前の準備に欠かせない様々な作業内容を解説していきますので、業務の参考にしてください。

こちらに挙げた項目の担当をあらかじめ決めておくとスピーディーに作業を進めることができます。

 

1. 商材の納品と整理

繁忙期前に必ず訪れるのが、セール商材や販売強化商材の大量納品。毎年この時期に、大量の納品が来ると分かっていながらも、オープン前の店前にピラミッドのごとく積み重ねられたパッキンをみると、販売員歴の長い販売員の人でも心が折れてしまいそうになりますよね。大型店であれば20パッキン以上、少ないところでも10パッキンほどの入荷があります。入荷量は予算とお店の規模により異なりますが、商業施設では入荷スケジュールはショップの状況に合わせられるため、パッキン数を分割したり入荷日などをずらすことが可能です。大量の商品を検品するため、納品作業は検品する人と伝票をチェックする人に分担しペアで作業をするとスムーズに行えます。

販売するのに必要な量の”在庫”を確保しなくては”売上”を伸ばすことはできません。必要な量(金額)の納品があるかどうかを確認しましょう。「実は在庫が足りませんでした・・・」となってしまっては後の祭り。しっかりと在庫を確保し、予算に合わせて販売を行う準備を整えましょう。

 

2. ストック場所の確保

セール時には普段より多くの入荷量や在庫があるため、臨時で使用できるストック場所が必要になります。多くの商業施設ではセール時の臨時ストック場所が用意されているため、必要なスペースを事前に申請して確保してください。もしも確保できない場合は、バックヤードの整理を事前に行う、近隣に別のストック場所を借りるなどの対策が必要です。お客様に見える場所に在庫をおくようなことがないようにしっかりと準備を行ってください。

 

3. 商品ストックの整理

セールで販売する商品の納品後には大がかりなストック整理が必要となります。
その際、ストックルールを決めておきましょう。ストックルールとは、ストックを保管するに際に保管場所を定めたり並べる順序を統一することをさします。アイテムを種類やサイズ、割引率ごとにまとめ、稼働率が高い商品は出し入れしやすい場所に保管をしておきましょう。ストックルールを設けることで、商品の店頭出しや本部への返品作業など店舗運営にまつわるすべての業務をスムーズに進めることができます。

ストックルールを設けておかなければ、品出し・商品探し・商品集めなど、すべての作業に時間がかかってしまいます。例えば、サイズ違いをお求めのお客さまがいらしたとしても、時間がかかりすぎると帰られてしまうこともあります。また、返品指示分の商品が見つからなければ返品入力ができず、返品作業を閉店後にせざるを得ないということもあります。

このように、ストックが乱れているお店は売り上げと同時に時間的にも非効率的になりがちです。商品が見つからない場合は棚の後ろやラックの下などに商品が落ちていたり、品番違いのところに商品がまぎれていることが多く発生しています。セール時には少しでも効率的に業務を行う必要があるため、必ずストックルールを設けて整理をしておきましょう。

ストック場所を確保し、整理をしておけば「素早くお客様へ商品をスムーズにお持ちする」「店頭に足りない在庫を迅速に補充する」などが可能となります。

 

4. 商品への値札付け

セールで販売する商品にはセール値札が添付されていると思いますが、添付されていない店舗在庫にはスタッフが手分けして値付けを行います。
こちらも検品と同じように担当を分けて作業をすることでスムーズに行えます。さらには商品が入っているビニール袋とカバーを外すところまで終わらせておくと良いでしょう。例えば、同じ品番の同じサイズ、同じカラーの商品が5枚入荷した場合は、2~3枚はビニールを外しておくと繁忙時のストック出しがスムーズになり、空いた時間で別の作業をすることもできます。

 

5. 付属品の取り付け

レディースアイテムにはファーやベルトといった付属品のある商品が多くあります。
特に取り付けに手間がかかるような商品は1,2点だけでも付属品を事前に装着しておくと、ほんの少しの手間で繁忙時には非常に時間の短縮になります。その際、付属品が外れて紛失してしまわないように気をつけましょう。

 

6. シミュレーションをして、万全の態勢を整えましょう。

心の準備はしていても、いざ本番になると、分かっていてもスムーズにいかないものですよね。いつだって予期せぬ出来事が起こるものです。例えば、入店導線が上手くひけておらず入口にお客様が滞留したり、フィッティングルームへの案内が滞ったり etc… などといつもと違う事が起こるものです。だからこそ、一度ショップ内で当日のシミュレーションをしてみましょう。しっかりと準備・対策を行った上で、お客様の導線や商品補充のタイミング、レジ対応などの事前準備から当日起きうるイレギュラーな事象まで、想定してみましょう。想定できうる事を事前シミュレーションし、慣れておくことで当日焦ることなく任務遂行ができるとともに、困った時にも心にゆとりをもって対処できるでしょう。

 

7. その他の準備

その他、ポップの準備や什器をどこに配置するか、売れ筋商品をどこに展開するか、ボディをどこに配置すると導線がよくなるかなど、店内のレイアウトに関する準備も重要です。また、セール開始日が近づくにつれ作業量も多くなり、営業中も交代でバックヤード内で作業することも増えると思います。バックヤードはお客様から見えないところにあるので、動きやすいスニーカーやスリッパに履き替えると効率よく作業を終わらせることができます。

 

 

セール準備をなるべく早く終わらせるには、作業内容の分担や時間設定を事前に行うことが重要です。今回お伝えした項目を取り入れれば作業時間の短縮に繋がり体への負担も軽減できます。スタッフ全員で協力し合い、パッキンの検品やストック整理など体力が必要な作業もスムーズに進めてセールをお店一丸となって乗り切りましょう。いよいよ2023年。新たな年の幕開けと共にアパレル店舗の最盛期を目前に控える年の瀬。1年で一番の商戦となるでしょう。幸先の良い1年を迎えるためにもしっかりと準備をし、最高のスタートを切りましょう。