おしゃれなイメージで若者が憧れるファッション業界ですが、実際ビジネスとしてはどのようなトレンドなのでしょうか。ファッション業界に携わっていても、ファッションビジネスの実態を知らない方は多いかもしれません。

今回はマクロ的な観点でファッションビジネス業界をひも解いていきます!

 

ファッションビジネスの現状

2019年現在のファッションビジネスの基本情報をご紹介します。下記が公表されている最新のデータです。

 

市場規模:9兆2,168億円

EC市場規模:1兆7,728億円

 

データによると、国内アパレルの総小売市場規模は9兆2,168億円でした(データ参照元:「市場調査とマーケティングの矢野経済研究所)。過去6年間ほぼ横ばいの数値で、直近では大きく市場規模に変動はありません。一方で、「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると2018年のアパレルECの市場規模は1兆7,728億円となっており、右肩あがりで成長しています。

(出典:市場調査とマーケティングの矢野経済研究所)

(出典:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査))

 

現在アパレル市場はほぼ横ばい推移ですが、1990年代には15兆円規模という時期もあったことを考えると、現在10兆円を下回る市場規模なので長期的には市場は縮小傾向です。

 

なぜアパレル市場は20年前に比べて縮小してしまったのでしょうか。第一に女性の衣類に対する意識の変化が挙げられます。アパレル市場を中心的に支えているのは女性ですが、リーマンショックなどもあいまってバブル崩壊以降日本の景気は低迷しており、社会で働かざるを得ない状況の女性が増え、共働き化が進みました。したがって、女性たちの衣類への関心が仕事着や普段の生活着へ向くようになりました。つまり衣類が「おしゃれに着飾るもの」から「日用品」へと変化したといえ、衣類に消費する金額割合が減少していったのです。

 

第二にファストファッションの台頭です。上記にあげた景気減速の影響によりGDP成長率が鈍化し、消費者物価も低迷を極めました。すると当然個人所得も低迷し、「安いもの」が選ばれる時代となりました。そしてユニクロを代表とするファストファッションが人気を集めるようになり、価格が低くてもクオリティが高い商品を消費者が手にすることができるようになったのです。

 

第三にヤフオクやメルカリなどの中古販売サービスの成長です。気軽に個人間で中古衣類の取引ができるようになったことで、新品衣類のプライオリティが低下していきました。

 

以上の理由からファッション業界の市場規模は縮小したと考えることができます。一方で衣類の供給数は増加を続けているため、「売れない」のは当たりまえな時代へ突入しているのです。

 

ファッションビジネスの今後

先に述べたように、国内アパレル総小売市場は縮小しています。そして今後少子高齢化の影響などにより、少しずつ市場規模は減少する見通しです。そのような中で優位性を確保するためには、現状の分析と今後のファッション業界の展望を踏まえた施策を行なう必要があります。

 

まず楽天やZOZOTOWNなどのモール型のファッション通販サイトは好調なので、引き続きECショップでの販売は堅調に推移すると予想できます。したがってECサイトを保有していない場合は早急にECサイトを制作すべきですし、ECサイトを持っていてもあまり売れていないのであれば、サイトの見栄えから運用方法、公告方法などを徹底的に改善し、EC売上比率を高める必要があります。

次に「ブランド力を高める」ことです。マーケットは縮小しファストファッションに代表される安価で質の良いものが売れていく時代の中で、「このブランドのアイテムが欲しい!」と思ってもらえるブランドイメージ作りが必須です。ブランドにファンがいれば、少し値段が高くても買ってもらえる可能性が高まるからです。デザイン性や機能性、またはブランドコンセプト等のストーリー性など、ブランドには様々な「価値」があります。自分たちのブランド価値を明確にし、ブランドの良さや強みを広く消費者に伝えていく活動が必要ですね。

いかがでしたでしょうか。今回はファッションビジネスの現状分析と今後の展望についてご紹介しました。これから更なる縮小が見通されるファッション業界で生き残るためにも、ECサイトの制作や見直し、そしてブランド力の向上など、マクロなビジネス目線を持って業界と向き合うことが大切ですね!