日本のファッションカルチャーの幕開けとも言える80年代。若者たちの台頭により新たな流行を生み出した80年代。90年代に入るとドメスティックブランドや裏原スタイルといった、独自の感性を表現したブランドが登場し、より日本のファッションは高度なものへと変貌を遂げていった。一方で、回顧的なファッションの逆行する姿も見られたのも90年代だ。

 

ファッション団塊世代が迎える2000年代

若者がファッションとカルチャーを牽引していった90年代を経て、2000年以降のストリートファッションは、世代を越えて支持されたものが目立った。

ファッションを”かじった”世代が社会人となり、”良いもの”に目覚め、手にすることで消費が90年代後半から始まっていた。「上質」や「上流」といったワードがファッションのキーワードとなっていた。

この頃には”セレクトショップ”と言われる、自社に持ち得ない感性の商品を海外から輸入販売を行なったり、国内の新鋭ブランドをキャッチアップしフューチャーした商品の販売を行なったりするショップが全国規模で広がりを見せた。

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ファッションに対する基準が変化していった。さらに、2000年頃の若年層の若者が新たなファッションのムーブメントを構築しつつあった。GAPやユニクロといったお手軽なプライスラインのブランドショップが都心部だけでなく、地方へと相次いで進出した。”安くて良いもの”という基準をクリアすることで、若年層のファッションに対する価値観のボトムラインも変化した。

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また、ギャルを卒業した世代の流入も手伝って、シンプルでユニセックスなファッション「リラックスカジュアル」にギャルテイストが混ざったスタイルが生まれていた。そのスタイルはどこか海外セレブの着崩したかのようなカジュアルさを連想させ、ファッションの新常識とまでなり得た。

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さらに、海外からハイセンスな情報の流入に合わせて、モードなトレンドを享受する「ファッションセレブ系」も台頭した。00年代後半には海外のファストファッション系ブランドの日本進出も相次いだ。低価格にも関わらず、デザイン性にとんだものが多く、瞬く間に日本人を魅了していった。

この頃から。ファッションに対する価格感や求めるクオリティなどの意識が変化していったのだ。それはファッション業界の「混沌」の始まりだったのかもしれない。

 

2000年前後に原宿を中心にセレクトショップが相次いでオープンした。ビルの小さなスペースを利用した古着+セレクトアイテムといったショップも数多く産まれた。

 

時代の進歩とともに、ジャンルや世代の垣根がなくなっていった。ファッションも今まで以上にグローバル化が進み、モードとストリートの垣根や、若者と大人の間のトレンド時差がほとんどなくなり、ファッションにもグローバリゼーションの波が到来した。

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外資系ファストファッションが本格的に上陸したことで、トレンド感あるファッションを誰もが手軽にできるようになり、一見おしゃれな”ファッション感”のある人が街に増えていった。これは後に日本のファッション産業に大きな変化をもたらした。

 

カルチャーの融合と情報化社会が生み出す2010年代のファッション

2010年代に入り、国内外のファストファッションが浸透していった。住み分けされていたと思っていた「ストリート系」と「ギャル系」、「コンサバ系」と特徴が違う3つのジャンルのファッションにおいて、ストリートファッションが混ざり合い、「可愛い系」というミックスされたファッションが台頭した。

時代の変化と、情報化社会を見せる世の中において、それぞれが自分自身の生き方やライフスタイル、価値観などをなどを見直す動きが見られた。世代を越えた「良いものは良い」「僕は、私はこれが良い」といった小さなグループが、いくつも産まれた。それぞれが独自の完成を持ち合わせて街々で繁栄と浸透を遂げていた。それらはサブカルチャーとして、現在の日本におけるファッションカルチャーの重要な要素となっている。

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当時、”携帯電話”と呼ばれる最新機器も、今では旧式の「電話機」にしかすぎず、「スマートフォン」が電話以上の様々な機能をもたらした。

今では年齢層を問わず、インターネットを使いこなし、SNSを活用する。情報の全てが一つに凝縮されたと言っても良いのではないだろうか。

 

簡単に情報を収集できる、この時代においては「日本のファッション」といった、国で区別をするような言葉が、不自然にさえ思える。ファッションカルチャーはよりボーダレスなものとなり、高度な成長を見せている。

 

そんな時代だからこそ、思う存分ファッションを楽しんでみてはいかがだろうか。

この先のファッションカルチャーを担うのは、間違いなくこの記事をみているあなたになるだろう。