2023年の秋冬シーズンのアパレル業界は久しぶりの不振に陥っている。その影響は気温が下がらないことによるアウター不振と言われている。

今年は例年稀にみる暖冬傾向にあり、都心でも12月に入り20℃を超える日が数日あったほどだ。日本海側ではやっと気温が下がり大雪に見舞われるようになったが、10月から本格的な冬のコレクションを展開するアパレル業界においては遅すぎるシーズン到来と言えるでしょう。

 

アウター不振のトレンド

レディースのアパレルメーカーやストアでは重衣料(アウター)が苦戦している。10月は日中の気温が下がらず平均気温が19℃と実需に対応できない状況が続いました。代わる売れ筋は、ニットトップやジャージーアイテムといった羽織りものが中心でした。11月も例年ほどの気温の低下が起こらず10℃を超える現状です。

仕入れブランドを目当てとする一部の高感度な顧客や定番品を買い替える顧客、インバウンド(訪日外国人)需要には重衣料が売れたが、全体的に購買意欲は低いのが現状と言われている。

例年、ウールコートがトレンドアイテムとしてインするレディースアパレルだが、入荷したが順調に動いているわけではありません。動いたのは、ハイゲージのニットトップやクルーネックのジャージートップ。

若年層向けのレディースファッションブランドでは、百貨店の自社店舗ではウールコートが動いたが、ダウンなどの重衣料は全体的に低調に推移しました。羽織りではニットカーディガンやフェイクレザーのブルゾンが好調だったものの、気温に左右されないデニムアイテムやTシャツなどが主力で、売り上げに貢献しているという。

この季節には、一品単価の高い重衣料で客単価を上げたいところだが需要のあるニットアイテムの実需に合わせて、売り上げを確実に伸ばそうと切り替える店舗もある。秋冬の雑貨としてロングブーツが一部でヒットしているが、一時的なムーブメントと読んでいる。

 

主要アパレルメーカーの動向

国内アパレル関連大手各社が10月度の既存店売上高を発表しました。ですが、ユニクロを運営するファーストリテイリング、しまむら、バロックジャパンリミテッドなどの企業では、平年より気温が高く推移し冬物の動き出しが鈍くなったことで、前年同月比で減収となったことを報告しました。

ユニクロの10月度は、月を通して気温が高く推移したことにより重衣料を含む冬物の販売に苦戦。9月度に続き2ヶ月連続の減収となりました。しまむらでは、朝晩の気温低下に伴い秋物・初冬物のアウター衣料が売れました。反面、単価の高い冬物アウターの動き出しが鈍く、こちらも2ヶ月連続の減収となりました。

一方、夏から衣服・雑貨カテゴリーが好調に推移している良品計画においては、衣服・雑貨および生活雑貨カテゴリーの商品が前年実績を上回るペースで売上を伸ばしています。