東京を中心とした首都圏に限らず、お店で接客してくれる店員さんが外国の人ってことが以前にも増して感じるのではないでしょうか。
実際に日本における外国人労働者の人口が増えていっているのが現状です。店舗での外国人スタッフが増えている背景には、いくつかの要因があります。

グローバル化と人手不足
日本は人口構成の高齢化にともない、国内の労働力人口が減少しています。特にサービス業においては人手が不足していることから、外国人スタッフを雇用することで補っているのです。求人をしても、中々募集がつのれなっかたりと国内の労働力には限がでているのが現状です。
それ以外にも、外国人観光客の急速な増加と社会全体のグローバル化が進む中、外国人スタッフを採用することで多様な視点や文化を取り入れ、顧客サービスを向上させるという狙いもあります。特に観光地や国際的な都市では、多言語対応が求められるため、外国人スタッフが顧客とのコミュニケーションを円滑に行う役割を果たします。多様な視点と異なる文化や背景を持つスタッフが新たなアイデアや視点をもたらし、サービスの質向上につながるでしょう。また、外国語を話せるスタッフがいることで、外国人顧客への対応がスムーズになり、顧客満足度が今まで以上に向上することが予想されます。
また、もう一つの要因に労働環境の改善が挙げられます。ビザ制度の緩和により特定技能ビザや技能実習制度など、新しい制度が導入され、外国人が日本で働くことが容易になっています。そのため、中国、ベトナム、フィリピン、ネパール、インドなど、アジア諸国からの労働者が多く就業実習制度を利用して就労しています。
一方で外国人スタッフを採用することで生まれる課題もいくつかあります。
外国人スタッフを採用することでの課題
文化や言葉、育ってきた環境が違うことにより課題もあるのが現状です。まず真っ先に挙げられるのが、言語の壁です。
日本では必須科目として英語を学習しますが、実際に実務レベルで使いこなすことができる人は多くはありません。そのため、コミュニケーションの困難が生じがちです。日本語が十分でない場合、業務指示や顧客対応に支障をきたすことがあります。また、文化の違いによるコミュニケーションやビジネスマナーのギャップが生じるケースがあります。日本独特の文化や習慣に対する理解が不足していると、顧客との関係構築やチーム内での調和が難しくなることがあります。異なる文化背景を持つスタッフ間で誤解や摩擦が生じることもあるため、ケアが必要となってきます。
一方で、外国人スタッフ自身が文化の違いによるストレスを感じるケースも多くみられます。異国での生活や仕事にストレスを感じることがあり、職場への定着が難しくなる場合があり、派遣先や職場でトラブルになることもあります。
外国人スタッフの受け入れにおける、必要な研修内容とは?
外国人材を採用する時に気になることに「入社時の研修」があります。採用する外国人スタッフ側と、受け入れる既存社員側、それぞれに適した研修を行うことが、その後の職場環境へ溶け込むことがスムーズか否かに重要となります。
外国人受け入れ研修の重要性
外国人材と受け入れ部署の双方に向けて「日本と海外の違い」を理解するための研修を行う必要があるでしょう。 なぜならば、外国人材採用におけるトラブルの大半は「知らない」ことが原因だからです。ほとんどのトラブルは知っていれば防げることであり、それゆえに日本と海外の価値観のおおよその傾向をお互いに知っておくことが重要です。
「外国人材」と言っても感覚はそれぞれ違うということを理解しましょう。
前提として抑えておきたいのは、同じ外国人でもどんな人でも感覚は人それぞれ、ということです。当たり前のことではありますが、ついつい一括りに考えてしまいます。
例えば「相手に失礼のないビジネスマナー」といっても、国によっても個人によっても感覚は大きく異なります。国柄というものは存在しますが、時間に厳格なドイツ人と言われていますが、時間にルーズなドイツ人がいないわけではありません。人それぞれだということを理解しましょう。
一方では時間への厳しさや報連相の感覚、上下関係など、日本独自の特性や風習のようなものが存在しているのも事実です。そういった点を事前に共有することは、外国人スタッフの現場配属後トラブル軽減につながるはずです。
外国人スタッフに対する研修
①「日本企業で働く上での心構え」を理解してもらう。
外国人材に向けた研修では、日本企業で働く上での心構えを伝えるイメージを持つといいでしょう。
例えば、時間の価値観。「約束の時間に遅れてはいけない」という考え方自体は万国共通ですが、その温度感は国によって大きく異なります。そして日本の場合、時間に対してはかなり厳格です。国によっては「時間に遅れてはいけないけど、遅れることもある」という感覚ですが、日本の場合は額面通り「時間に遅れてはいけない」のです。
②「報連相」の重要性を説く
他に外国人材が戸惑いやすいのが報連相という文化です。報告、連絡、相談の重要性もまた全世界に共通するものではあるものの、日本企業はチームの意識が強く、海外と比べて報連相を強く求める傾向にあり、こういった違いが外国人材の混乱の元となることは非常に多いでしょう。なお、日本に憧れと敬意を抱いている外国人材の場合、日本の感覚に合わせようとする人も多いのも事実。たとえ出身国が時間にルーズであったとしても厳格に時間を守るなど、「日本人と同じようにしたい」という意識は強い傾向にあります。
③受け入れ部署向けの研修
文化の違いや個人の事情によって生じる細々とした対応は受け入れ後にすり合わせていけば十分ですが、日本と海外の大まかな違いは事前に押さえておいた方がいいでしょう。国籍や宗教によって考え方や価値観が異なるため、基本的な知識を習得しておかなければ大きな混乱を招いてしまう可能性が高まります。例えば宗教への基礎知識があれば、ムスリムの女性に対して「ヒジャブを取るように」と指示したり、「あなたの歓迎会なのだから飲まないと」と言ってしまったりすることが、どれほど非常識なことかがわかるでしょう。
④「日本人と外国人の仕事への価値観」の違いを理解する。
もちろん国や個人によって違いはあり、「外国人材だからこうである」とひとまとめにして言い切れるものではありませんが、一例を挙げると、日本人と外国人材では仕事への価値観が異なることが多いです。日本では自己実現や自己成長など「自分のために働く」傾向にありますが、他のアジア各国は「家族のために働く」が色濃いです。
そのため家族が病気になった場合、日本では仕事で穴を空けないことを考え、極力休まない選択をする人が多いですが、他のアジア各国ではほぼ100%が休暇をとって看病をします。こうした違いを知らなければ、外国人材の言動を非常識に感じやすくなってしまうでしょう。
日本を訪れる外国人観光客は増加の一途を辿っています。また、日本に移住してくる外国人が増えています。
ここ数年、日本は急激なグローバル化を推進し、多様性を社会に用いるようになります。今後は、外国人材をどのようにいかすのかも人材育成には重要となってくることでしょう。
これを参考に、社内での外国人スタッフの研修や制度設計に役立ててみてください。