東京の街は、今、大きな変化を迎えている。新たな近代的なビルが中心部の駅周辺に続々と建設されている。特に顕著なのが、渋谷エリアではないだろうか。2012年以降、高層ビルの建設が進み、駅周辺の環境は大きく変わった。2023年には、港区エリアの新複合型施設「麻布台ヒルズ」がオープンした。2021年には東京駅にTOKYO TORCHが竣工し、東京タワーを超える約390mの高さを誇るビルが2027年を目処に完成予定だ。高層ビルかどうか以上に、東京都心部ではまちの再開発が進んでいる。東京大規模再開発が都心などで相次ぐ背景には、第2次世界大戦後の復興から高度成長期にかけ次々に建てられたビルなどが更新時期を迎えることがある。また、2011年の東日本大震災で防災への備えが見直されたことによりビルの老朽化や耐震問題について見直されたことが再開発計画を後押ししたのではないだろうか。

大規模開発の真只中

今、東京は100年に一度と言われる大規模再開発の真っただ中にある。この再開発の波は2024年以降も止まることなく各地で予定されている。

2023年11月に東京の新たな玄関口として国際線の発着便を増やしている羽田空港エリアに「羽田イノベーションシティ」が全面開業。そして、ビルとして現在日本一の高さを誇る「麻布台ヒルズ」も同月オープンした。同年夏には渋谷駅東急東横線跡地に「渋谷サクラステージ」が全面開業した。その後も都内では大型案件が相次ぐ。2028年には、東京駅近くに麻布台ヒルズの高さを上回る「トーチタワー」が完成を予定し、東京駅エリアの新しいランドマークになることが予想される。

リニア中央新幹線の始発駅となる予定の「東京の玄関口」として期待が高まる品川駅の周辺エリアもリニューアルが予定されている。2026年には同駅西口の高輪エリア〜高輪ゲートウェイ駅周辺で大規模複合施設などが建設・整備される予定だ。もちろん、開駅して以降、高輪ゲートウェイ駅でも高層ビルなどの建設が着々と進んでいる。湾岸エリアでは、パレットタウンや小池都知事の発言で話題となった東京五輪選手村など広大な施設跡地を利用した開発が進む予定となっている。

新宿の名物も取り壊しとなり、新宿西口の小田急、京王の百貨店が建て替えが進んでいる。最近では歌舞伎町エリアの開発が進んだ新宿エリアだが、これからはJR新宿駅前の開発も進んでいくこととなりそうだ。

 

新旧織り交ぜた街が新たな魅力となるか

「働く」「遊ぶ」「暮らす」のさまざまな機能を持つ個性的なそれぞれの街の集合体として独自の進化を遂げてきた東京。現在進行する再開発は、バンコクやクアラルンプールといったアジアの大都市が台頭する中で、日本の首都がこの先も世界中からヒトやモノ、お金を集められる都市であり続けるためにも再開発は重要な意味を持つ。

新たに近代的な機能と複合性を持ち合わせる高層ビル、昔の下町の風情をそのまま残すエリア。東京はそれぞれの役割を明確にしながら、新旧を織り交ぜた街並みに更なる変貌を遂げていくことだろう。

 

若者の街「渋谷」の新しい未来

「働く」「遊ぶ」「暮らす」の3つが揃う街、渋谷。ビジネスやエンターテイメント、若者のカルチャーの発信地の集積地として現在進行系で発展してきている渋谷エリア。渋谷駅桜丘口地区で生活支援施設や起業支援施設など、暮らしとビジネスの両面での開発が予定されている。例えば、渋谷地区で一例を掲げると、東急グループのプロジェクトとして「エンタテイメントシティSHIBUYA」と「広域渋谷圏(GreaterSHIBUYA)構想」の2つのビジョンを掲げています。このビジョンのもと、「働く」「遊ぶ」「暮らす」の3要素を融合し、これらを「デジタル」「サステナブル」に取り組むことによって相乗効果を生み出し、エリアならではの「渋谷型都市ライフ」の実現を目指した開発プロジェクトが進行中しています。

先んじて竣工したのが、2012年4月開業の渋谷ヒカリエだ。それを皮切りに2017年4月渋谷キャスト、2018年9月渋谷ストリームと渋谷ブリッジ、2019年3月渋谷ソラスタ、2019年11月渋谷フクラスと渋谷スクランブルスクエアがすでに完成を迎えた。今後は2027年に向け渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期が完成予定となっている。このほかにも原宿、表参道、青山、代官山、恵比寿など広域での開発が進んでおり、渋谷駅の周辺だけでなくエリア全体として進化を遂げようとしています。

 

多様性と複合性を持ち合わせる小売業

複合型商業施設の相次ぐオープンでホテル業をはじめとして、飲食業や小売業も環境の変化を迎えている。今までであれば人通りの多いメインストリートだった場所が施設の建設により人の流れが変わったり、面積の大きいテナントが増えたりと、環境の変化が大きい。もちろん、上記のような計画は無計画で行われているわけではなく、街の利便性を向上させるほか、環境への適合や、外国人客へ向けた整備を大きな目的として行われている。

小売業は従来通りの「〇〇の店」というだけではなく、インターナショナルな感覚を持ち合わせ、モノ消費だけにとどまらず、体験型の消費行動や、新たな感覚とコンセプトを持った実店舗の運営をすることで、大きなビジネスチャンスがあるのではないだろうか。

 

きっとこれからの東京は今まで以上に大きな変化を迎えることでしょう。

そして、その影響は東京都内だけでなく、日本全体に広がっていくことと思われる。

これからの東京の変化を楽しみ、近代化を見届けてみるのはいかがでしょうか。