一昔前とは違い、現代では働き方の多様性が求められるようになり、オフィスワークをメインとしている会社勤めをしている”会社員”ですら出社しなくても良い環境が整っていたり、生涯同じ会社で勤め上げるということが稀なケースとなり、フリーランスという職種を選ぶことに何ら抵抗の無い時代になりました。アルバイトの最低時給は上がり続け、雇用主側の負担は大きくなる一方で、就職や採用において”売り手市場”のトレンドが続いています。

 

それは、ファッションを中心とした販売職についても同様に、採用に苦労するというトレンドが続いています。もちろん、職業の人気に有無というだけでなく、ファッション業界の業績不振ということがその理由の一つにも考えられるでしょう。しかし、”華やかで憧れの存在”だった以前とは違い「販売職」に対するネガティブなイメージは強く世の中に広まっています。実際に販売職を辞めた人の意見に”労働環境がきつい”や”給料が低い”、”休みが不定期である”、”将来が不安”などの言葉が並んでいる。

 

では、逆を考えたときに、どのような企業を選び、どのような働き方をすれば理想の職と働き方ができるのでしょうか。

クレセントアイズが考える販売職として求められる能力と資質について、マネージャーの渡邊に意見を聞きました。

職業としての”販売”とは

- 世の中には様々な職業があるじゃないですか。もちろん、渡邊さんは立場的にも色んな職種の方と接する機会も多く、それぞれの職業に関する特性なども知っているかと思うんですが。それを踏まえて、「販売」ってどんな職業だと思いますか?

まず第一にお客様(人)に関心を持つことができないと絶対に成すことのできない職業だなと感じます。販売職のイメージといえばファッション関連が中心だと思うんですが、単純に”服が好き”や”オシャレがした”というだけで業界に飛び込んでくる人が多いなと思います。実際は、それだけではやっていくのが難しいところがあると思います。それ以上に先ほども言った「人に興味を持つ」ことが多かったり、人に対して関心の強いパーソナリティーがないと続けられないのではないでしょうか。大前提として人と話すことが好きだったり、コミュニケーションを取るのが得意でないと仕事にならないですよね。そんな職業かなと思っています。

 

- 元々、ファッションに興味があって、専門学校や服飾学校に通って、好きなお店やブランドで働くという流れが業界の流れとしてあると思います。まず、就職したりアルバイトを始めると店頭スタッフからスタートじゃないですか。でも、世の中的に「販売は賃金が低い」と言われている。

そうですね。その世の中の意見は多く耳にします。でもそれって、好きで飛び込んだファッションの世界をどこまで突き詰めて働くのか、行動するのかによると思うんですよ。もちろん、給料の高い有名上場企業ですと給料は高いけど求められる要求も高く、個性や個人の能力って表現する必要がそこまで高くないと感じます。一方で、ファッション業界はそうではないですよね。

現実として、”今販売をやっている”からといって販売職だけを突き詰めます!というとどんな大手の企業でも給与の限界値もキャリアの限界も非常に近いと思うんですが、キャリアや年次に合わせて、例えばマネージメントや運営などを目指せば店舗に関わりながらより広いビジネスシーンに携わることができますし、実績を残せば給与にアップもあります。もしくは、店舗という現場を離れて、生産や企画やデザインというオフィス業務を目指せば、自分自身の裁量で物事を判断する仕事をできるわけです。つまりは、どのようなキャリアなのか、どのような職種なのか。それらをどう選択するかで自分の価値を決められるというだけなんですよね。大手企業で勤めていても新卒3年目まではほとんどが横一線で、それからそれぞれのライフスタイルやキャリアビジョンによって身の振りも給与や評価も変わってくるじゃないですか。

 

この問題ってずっと前から業界内に介在していて、今も変化なく介在しているんですよ。じゃあ、どうやったら変えていけるのかというと我々のような役職や職歴を持っている人間が、「道しるべ」じゃないですけど、キャリアの積み方やライフプラン的なものを下の子たちに示していくことが大切なんですよね。もちろん、企業としてそういった体制や仕組みを持っていないと、それすらもできないので。

 

- 最近では専門卒や大学卒の販売スタッフが非常に増えた印象です。

そうですね。弊社に入社してくるメンバーも、アルバイトスタッフもそのような方が非常に多くなりました。しかし、学校で教わることって生産のことを学んだり、スタイリストやヘアメイクを学んだり、ブランド運営やデザインやMDのことを学んだりが中心で、販売のことやキャリアビジョンの持ち方などを学ぶ機会が非常に少ないのではと思います。なので、実際に働いてみると数年間は販売の現場で働くということのギャップに苦しんで、早々に辞めていってしまうというケースが多いのも現状です。

- 確かにそうかもしれませんね。どんな企業に就職しても最初の数年間は下積み的な仕事が中心ですし、中には研修扱いの所もあったりしますしね。そして、営業マンを経験してから勤続5年以上経って、やっと違うキャリアにということが多いイメージです。

その通りですね。ファッション業界はそれが「販売」だったというだけなんですよね。

 

vol.02に続く